12月24日の灯り

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「キミが僕と話している間、みんなずうっと部屋に居たよ…



 キミにはちっとも見えてなかったんだねえ…」



 彼がいつの間にかすぐ横にいて、俺は彼の顔を見てぎょっとした。



 老いた男と思いきや、10を越えたか越えないかくらいの少年だったのだ。



 しかも…どこかで逢ったカオ、遥か遠い昔に。



「おいあんた…



 どこかで俺と逢ったことなかったか…?」



 彼はふふふと含み笑って、手を差し伸べた。



「精一杯生きたキミに全てを話してあげる。



 さあおいで。



 話しながら…キミの奥さんの所へゆこう…」





 俺は彼の手を取り、彼はにっこり微笑んで、ぱちん! と指を鳴らした。



 あ、それ知ってる、と思ったと同時に、俺と彼の体は吸い込まれるように上へ。



 雲よりも高く。



 地球よりも月よりも高く。





 …星よりも高く…










聖夜のひみつ Ⅲ〈完〉



[リアルタイム執筆期間]
2016年12月23日

[改稿終了日]
2021年6月6日





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