12月24日の灯り
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「…ちっ」
歯抜けの男は小さく舌打ちをして、司祭様を振り返った。
「おい司祭様。これは、この炎達は細工してるんじゃないだろうな」
「とんでもない。聖なる夜の使者たちの心の灯火を操作など」
司祭様は柔らかく笑って、もみの木のとある一点で立ち止まり見上げた。
「ほらご覧なさい。あれがあなたの灯火だ、綺麗に灯っておられる。
どういう意味か、あなた自身がよくお分かりでしょう?」
歯抜けの男も上を仰ぐ。自分は今こんなにも、悩んで、呆れて、無意味だと思っているのに──あの
あの輝きが自分の奥底に確かに存在する、それは、縛りでもあるが誇りでもある──のだ。
「風前の灯にでもなっていたら、心置き無く退けたのによ」
そう言った歯抜けの男の顔は、この教会に辿り着いた直後より穏やかな空気に包まれていた。
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