12月24日の灯り

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「俺からのプレゼントなんて…どうせ…」

 寒さしのぎに何となく入った、立ち呑みカウンターが店頭にある小さな居酒屋にて。

 カウンターの隅でちびちび飲んでいたら、もう一方の隅で同じように飲んでいた男が、そんな言葉を酒くさい息と共に吐いていた。

 おや? …あぁ、あの彼じゃないか。

 実は僕、遠い昔にこの男と接触した事がある。

 人間界の仕組みの観察、とかいう修業の一環で、2、3年ほどまっとうな人間として暮らしていた頃の出逢いだった。

 僕は他の呑み客の陰にうまいこと隠れて、彼をじっと見た。

 そうすると僕の特殊な能力が作動、一瞬にして周りの喧騒が消えて、代わりに微かにキーンと流れる音。

 そして、ゆらゆらと頼りなく揺れる…使命の灯火。

(あの子を生涯自分の息子と言うのなら。
 一生あの子の父親は自分だと言うのなら。
 その責任と誠意を最後まで見せて頂戴。
 私とあなたはもう二度と一緒にはいられないのだから…
 あの子に贈り続ける事が、あの子と私に対するあなたの償いのひとつである事を、どうか忘れないで頂戴)

 灯火の陽炎の向こう側に、彼の元妻がそう叫ぶ影像も見えた…





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