12月24日の灯り
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けれど、ふたりはまだ知らない。
そう遠くもなく近くもない未来の話を。
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(男)
初めてのクリスマスプレゼント、
何にしようか?
これなんかいいと思うんだけどさぁ?
(女)
ばっかねぇ、完全にあんたのシュミじゃん!
こっちよこっち。
(男)
おまえだってー、自分の好みに
寄せてんじゃん!
(女)
そんなことないでちゅよねー。
これほしいでちゅよねー。
…あっ!ほら!うんって言った!
(男)
ばぁかぁ。
あう、って言っただけだろー(呆笑)
(女)
(笑) だけどまぁ、色ーんな玩具が
あるわよねぇ。目移りしちゃう…
あっ、これもいいね。
(男)
うん? おっ、ほんとだ。いいねぇ。
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ふたりの間に生まれた、砕けた硝子のようにキラキラしている大切な何かに対して、同じ視線と気持ちを共有する日が来るなんて、ふたりは露にも思わないだろう。
だけどもね、こんな段階からでも、ふたりの心の奥底で芽吹いている使命人の
どうしても、ネックウォーマーの下で、口角を上げてしまうのだ。
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