12月24日の灯り

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(信じるも何も、毎年の事じゃない。
 いつも、アンタが欲しい物が贈られてくる。
 サンタじゃなかったら、一体誰が?)

(それは…
 あー…
 …もういい。もう寝る)

 何か言いたい事を飲み込んだ娘は、軽く溜め息をついてTVの電源をプツリと消した。

(ハイハイ。そうしな。寝ない子にはサンタは来ないから~)

 2階へ上がっていく娘の背中にそうおちゃらけた後、母親もはあと軽く溜め息をついた。

(真実を伝える頃合いなのか?
 今年あの子、欲しい物ハッキリ言わなかったんだよねぇ…
 喜びそうな物を買ってはみたけど…どうだろうなぁ…
 …………
 …………
 …あああ~、限界かなぁ~、はあぁ~…)

 母親の重い心のつぶやきが遠ざかる…母親が娘のプレゼントをラッピングする為にリビングを出たし、僕はまた歩き出したから。



 再び僕は、ネックウォーマーの下で微笑を溢す。

 そう言いながらもアナタは来年もまた、そうやって使命を果たす為にがんばるんだろう。

 アナタの心の灯火が、年々小さくなりながらも、そう言っている。





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