12月24日の灯り

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 吹きすさぶ風の中、僕は市街地を離れ、住宅が犇めくエリアをふらつきだした。

 会社帰りの、箱や袋を両手にぶら下げて早足で歩く男達と、何人もすれ違う。

 彼ら全てに、心に柔らかい炎が灯っている…

 ネックウォーマーの下で微笑を溢していたら、

(──ねえ、サンタなんて、本当はうそっぱちなんでしょ)

 通り過ぎようとしていたある一軒からそんな言葉が聞こえた。

 僕は地面を見つめたまま、立ち止まる。

 僕には不思議な力があって、誰にも怪しまれず屋外から屋内の様子を見るぐらい、何て事はない。

 (ギク…)なんて心の声を聞き取る事だって、何て事はない。

(は、あ? 何をいきなり)

 心の声の主の母親が、質問の主の娘の顔を見ずに、手元の雑誌のページをめくりながら素っ気なく答える。

 娘はTVの画面をぼんやり眺めながら話を続けた。

(だって、みんな言ってる。そんなのまだ信じてるのオマエだけだって)





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