12月24日の灯り
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「おーいバイトくん。そろそろおしまいの時間だけど…
おおお? もう最後の一箱かい? すごいなぁ、一人でよく頑張ったね」
このクリスマスケーキを作ったお店の店長がタケトに声を掛ける。
「え? あ、いや、あの…」
俺一人だった? 誰かいたような気がするけど。
「お疲れだったね。ここの片付けはうちでやるから、もうあがりなさい。
あ、もし迷惑でなければ、そのケーキ持っていって? あとこれ、長靴のお菓子詰め合わせ。今日頑張ってくれたごほうび。
いやぁーほんと、もっと残ってると思ったからねぇ、ありがたいよ…」
店長の話をぼんやり聞いていると、頬に何かひんやりと感じた。
「おっ…降ってきたか。冷えると思ったら。天気予報じゃなにも言ってなかったけどな。
ほら早くあがって。風邪ひくよ」
「あっはい、じゃあ…お疲れ様でした!」
店長に深く頭を下げた後、タケトは空を見上げた。
紙吹雪みたいに雪が舞い、それをイルミネーションが照りつけてキラキラと光っていた。
【ユキムシが雪を連れてくる】
急にこのフレーズが浮かんで、なんのこっちゃと首をかしげながら、サンタの衣装のまま上からダウンジャケットを着込んで、自転車に跨がった。
ケーマを迎えに行かなきゃ。
このカッコ見たら何て言うかな、喜ぶ? 呆れる? どうでもいいか、これが今日の仕事着だから。
頂いたクリスマスケーキと長靴のお菓子の詰め合わせをカゴに大事に入れて、タケトは雪で濡れ始めた道を自転車で走った。
彼の本来の目的を果たす為に。
(…メリークリスマス。ふふふ)
聖夜のひみつ Ⅱ〈完〉
[リアルタイム執筆期間]
2015年12月23日~24日
[改稿終了日]
2021年6月6日
[リアルタイム執筆期間]
2015年12月23日~24日
[改稿終了日]
2021年6月6日
※よければこちらもどうぞ
→【聖夜のひみつ Ⅱ】あとがき
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