レンズの向こう側
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あたしとノブキは付き合い出してまだ4ヶ月ほど、でも初対面はもっと前。あたし達は同じ大学の先輩後輩だった。
学年も学部も全く違うのに出逢ったのは、バイトの勤務上でやりとりがあったから。
あたしが働いていた構内の書店に図書センターから書籍やら雑誌やらを運んできて、あたしと一緒に陳列してくれていた。
それがノブキと、上司の神さんだった。
神さんには入学当初からお世話になっていて、だいぶ気心が知れていた。
ノブキは…おどおどしてて、声もちっちゃくて、この子大丈夫か? なんて思ってたけど(笑)
でも段々とあたしと神さんに馴染んで明るくなっていった、いじり甲斐のある弟みたいで楽しかった。
もちろんこの時はノブキに恋愛感情なんて無い、まさか社会人になってから付き合う事になるなんてね。
この頃…あたしはバツイチの神さんに恋をしていた。
振り向いて貰おうなんて無謀だった、でもその想いはずっと捨てられなかった。
神さんが異動になって大学を離れる時に、思いきって打ち明けた。
【バツなんかついてる俺はダメだよ。
せーちゃんはこれから色んな人と出逢うから、その中で素敵な人を見つけるんだよ】
そう言って神さんは、優しくあたしを突き放した。
そして、いつか本当にいい人が出来たら報告待ってるから、とも言っていた…
それが…まさかノブキなんてね(笑)
いやでもね、神さんが奥さんと近々復縁出来そうっていうのも、あたし達にはオドロキだったんだけどもね(笑)
「「おめでとうございます!!」」
あたし達は思わず声を揃えて言った。
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