ボーダーライン〈後編〉

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 (★)

 僕とせーちゃんのボーダーラインが掻き消されようとしている。

 恋愛対象外のせーちゃんにさえも、なっちゃんの面影を追いかけて、本当にナニやってんだろう。

 せーちゃんの肌からいい匂いがして、せーちゃんの肌が熱くて、ことさら頭が痺れる。

 僕の手が、せーちゃんの胸からおへその上を通り過ぎて、デニムスカートの裾をひんめくった。

 その下はレギンス、それを下にずり下げたら、指にせーちゃんのショーツの生地を感じた。

 下腹部に昂まりが集結する、連動して、動悸がどうしようもなく激しい。



「ねぇ…俺、止められないの…どうしたらいいかなぁ…
 寂しい顔の女の子見ると、理性が吹っ飛ぶ…
 せーちゃんにさえ、こんな…して…





 これ以上…ダメに…なりたくない…」



 眉間にしわを寄せながら、せーちゃんの割れ目をショーツの上からツーッとなぞった。

 せーちゃんが身をよじった。

 と同時に、

 僕のよこしまな手を両手で強く掴んだ。



「ノブキッ」



「!!」



 せーちゃんが、僕を下の名前で初めて呼んだ。

 鋭く呼んだ。



「やめよう?

 やめようよ…

 ノブキは…

 ノブキは…

 せめてあたしには…

 誠実でいなきゃダメだ…」



 先程の呼び掛けと強い眼差しとは反対に、せーちゃんの声は優しくて、震えていた。





 それで僕は、大粒の涙を零した。





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