ボーダーライン〈後編〉

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 (★)

 ギシギシとベッドが揺れる。

 式典の後に一度帰って、着物から着替えてきたというワンピースの背中のファスナーを少々乱暴に下ろして、僕はアスナを押し倒した。

「ノブくん…やさしくしてよ…」

 そう言ってアスナは、少し怯えたような顔をして、目を潤ませた。





「──それって…どういうイミで言ってる…?」

 アスナの冷えた指を振り払えないまま、僕は質問をする。

 アスナは何も答えず、僕を見つめるだけ。

 僕が空いてる方の手をアスナの頬に置くと、アスナはゆっくりまぶたを閉じた。

 吸い込まれるようにアスナにキスをした──あの頃は、恥ずかしくて短いキスしか出来なかった、今、すごく長く触れていて、お互いの唇が徐々に熱くなっていく…

「……ノブくん、長過ぎ(笑)」

 ぷはっと息を勢いよく吸って、アスナがケラケラと笑った。

「ゴメン、酔ってるねお互い。付き合ってたとはいえ、軽率だよね。
 ほんと何やってんのかな…あっ私ね、今気になってる人がいてね…
 だからね、今のは、忘れよ、ねっ…」

 アスナの言葉を全部聞かずに、僕は二度目のキスを…さっきよりも深く、深くした。

 アスナと紡木さんが重なる。

 他の誰かを想いながら、僕とこんな事をしてる。

「んっ…ノブ…んん…」

 アスナの溜め息を聞きながら、僕も紡木さんにこうすりゃよかった、そしたら、今のアスナみたいに背中に手を回してくれたんじゃないんだろうか、なんて思った。

 アスナの唇がわずかに開く。

 僕は舌をねじ込んで、掻き回して、





 気付いたら、近くのラブホテルに連れ込んでいた。

「…あああん…!」

 ワンピースの肩を少しずり下げて、肩、首筋、鎖骨に唇を滑らせながら、右手でワンピースの裾を膝からおへその上まで捲り上げて、下着の上から割れ目をなぞった。

 下着に一気に染みが出来て、下着の中に手を入れると、アスナはびくんと背中をのけ反って、蜜を沢山溢れさせた。

 なっちゃんと同じ。



「あぁ…っ、
 ノブ、くん、キモチヨスギ…
 イッチャウヨォ…」



 アスナがイキかけると同時に、僕は予め手に握っていたゴムを素早く被せて挿入した。

 アスナのソコは僕のソレを締め付けて、一気に膨らむのが分かった。

 すぐに放出するかなと思ったが、意外に時間がかかって、アスナの両手首を押さえ付けながら僕は腰を振った。

「あぁん、あぁん、ノブくん、イッチャウ…ッ」

 アスナの声を、紡木さんの声に置き換える。



(ああ…! なっちゃん…!!)



 そう思った瞬間、ゴムの中で欲望が弾け飛んで、僕が小さくなっていった。

 頬を染めて放心状態のアスナの上に、汗だくの僕が覆い被さった。





 20歳の成人の日。

 僕は、他の女を想いながら、元カノに童貞を捧げた。



 ナッチャンニオナジコトヲシチャエバヨカッタ。



 …せーちゃんに言えない事ばかりが増えていく…





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