ボーダーライン〈後編〉

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 もうどうでもよくなった。

 図書館の逢瀬をやめた。

 登山サークルに顔を出すのもやめた。

 掲示板のやりとりもやめた。

 紡木さんを…ブロックした。

 彼女からのアクションは何もなかったし、不思議な事にあれ以来、紡木さんとバッタリ逢う事はなかった。

 僕は…紡木さんに幻滅したのかな。

 出逢った頃の、ボーダーのシャツを着て、キラキラと笑顔を見せてくれた彼女との落差…

 いや、僕が弱いだけ、いい人を演じたくて、真摯に気持ちをぶつけなかった僕の…



 ……もう、いい。



 何もかも忘れて、今は勉強とバイトに忙しいんだと言い聞かせた。

 実際忙しく、飛ぶように日が過ぎていった。





【コバッキー! 成人の日、おめでとう!
 ちょっとした同窓会になるよね~懐かしい。
 あんまし羽目外し過ぎないように。
 なかなか時間取れなくて悪いね。
 今度調整するから。気長に待っててよ~】

 珍しくせーちゃんから長いメッセージを貰った時は、成人の日で、地元の公民館前の広場で他のハタチの連中と風船を空に飛ばすところだった。

 その後、中学の時の仲間同士でボーリングしたりカラオケしたりして、居酒屋が開く時間になると次は、高校の仲間と集まってたらふく飲み食いした。

「よぉー、オマエもここで祝杯ー?」

「やだ、なんでアンタがここにいんのよー? サイアクなんですけどー!」

 仲間のひとりが同中の女子と出くわして、ギャーギャー言い合っていたのに、何故か彼女のグループと同席する事になった。

 向こうは5人、僕達も5人、何か合コンみたい?

「おじゃましまーす。
 ほら、ナナもいつまでもいがみ合わないで、ハタチ同士仲良くやろうよ?」

「どうぞどうぞー。
 おらハッチも、そんなんだからモテねーんだぞ?
 あ、そちらさんはどういった繋がりで? 俺らは高校の時のツレなんだけど」

「あ、私達は大学の教室で一緒で…」

 睨み合う二人を放っといて、和やかに会話を弾ませる僕達。

 向かい合わせに座ってきた彼女達の内のひとりを見て、僕は目を見開いた。



 高3の冬に付き合って別れた、アスナがいたからだ。





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