ボーダーライン〈後編〉
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9月に入った。
大学の後期が始まるのは半ばからだから、8月の内に課題を終わらせた僕は若干ヒマ。
構内バイトは変わらず入れるだけ入って、その他に派遣会社に登録して単発のバイトをいくつかこなしていた。
何故そんなに頑張ったかというと、後期に入る前に取得できる運転免許合宿を見つけたから。
2週間の寝泊まり。20万超の費用は自分で全部賄えず、親に頭を下げて半分貸しにして貰った。
少しずつ返していくのと、免許を取ったら母親の買い物の時は車を出すという条件付き。
「おとうさんいない時にでも買い物に行けるって、いいわぁ。
アンタ、絶対約束守んなさいよ」
いつも数日分まとめ買いの母親は、まだ入校すらしていないのに上機嫌でそんな事を言った。
2週間の合宿は、覚える事が沢山ではあったけれど、同じ目的の仲間がいてとても励みになった。
年齢層も学生から社会人まで色んな人がいて、もちろん女子もいたわけだけど、僕はやっぱり紡木さんがいいな…と再認識させられた。
数人の女子と連絡先を交換したが、僕からはきっとしないだろう。
早く大学始まらないかな。紡木さんの笑顔に逢いたい。
同時に、合宿のきっかけをくれた槙村さんの事も浮かべる。
せーちゃんだって男子と講義なり実技なり共にしたはず。出逢いはなかったんだろうか?
好きなんだってば。神さんのこと。
あの時打ち明けられた、槙村さんの秘密。
大学が始まったら、僕は、二人の前で平静でいられるだろうか?
僕は無事、全ての項目をクリアして、運転免許を獲得した。
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