ボーダーライン〈前編〉

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 紡木さんリクエストのケーキを買えた事を知らせようとした矢先に、

「ノブー悪ィ、紙コップと紙皿と割り箸人数分、テーブルに並べといてー。ほらよ」

 松堂さんにその一式が入ったスーパーの袋を投げ渡された。

 その間に、松堂さんは紡木さんの上座を作って、「主役のツムちゃんはここに座ってな」と紡木さんの肩を後ろから押していた。

「部長も人使いが荒いな、一応ノブも主役なのにな(笑) ほれ、僕も手伝ってやるから」

 副部長が柔らかく笑いながら、僕と一緒に紙皿と割り箸を並べて、紙コップにビールを注いだ。

 紙皿に次々と焼かれた肉や野菜が乗せられ、晩餐の準備は整った。

「ではではー、本日のメインイベント、紡木奈津さんとついでに木庭信暉くんの誕生日会を始めたいと思います!
 皆さんビール持ちましたか?
 それではお二人前へ、それぞれハタチの意気込みを語って頂きましょう」

 そんな、聞いてないんですけど、と僕と紡木さんは苦笑いをしたけど、松堂さんにグイグイと背中を押されて、皆に囲まれる中へ出てきた。

「あ…じゃあ、私から…
 えっと、ハタチになったので、これまで以上に司書の勉強と、サークル活動を意欲的に頑張りたいと思います…
 …あ、あと、もうちょっとお酒に強くなりたいと思います(笑)
 今日は私の為に、ありがとうございました」

 紡木さんはえへへと笑いながら、皆の温かい拍手に応えた。

「え…と、僕のはまだ少し先ですけど…こうして祝って貰えて、僕も嬉しいです。
 え…と、ハタチの意気込みは…んーと…」

 突然のお題に考えあぐねていると、

「コンタクトにするって言え!(笑)」

 と松堂さんの茶々が入ったので、

「えぇ? あー、まぁ、考えときます(笑)
 あっ、あと、今日車で連れてきて貰ったんで、僕も早く免許取って運転したいです」

 と言うと、そうだー! このサークルにもっとドライバーを増やせー! と思いがけず盛り上がった。

「さぁそんなわけで! あとは食って飲んで、花火もやるからなー。最後まで楽しむぞ、カンパーイ!」

 松堂さんがそうまとめて、宴会が始まった。





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