ボーダーライン〈後編〉
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反省会と称して飲み食いするお店は洒落たダイニングバー、すっかり常連となってしまって、
「あらー、またこの席に案内されたか(笑)」
「はは…」
お店の人が気を利かせてるのかなんなのか、毎回カップルシートに座らされた。
その度に、僕達はお互いの肩が触れないように、必ず拳一個分隙間を作って座る。
僕とせーちゃんのボーダーラインは常に保たれていた。
適当に料理を注文して、お酒が運ばれてきたところで乾杯した。
「今日も一日お疲れさまー」
「お疲れー…ねぇねぇ、○○ちゃんが□□くんと付き合うことになったって、聞いた?」
「ええ? そうなの? □□くん、なんも言ってなかったけど。
そうかぁ、こないだの時いい雰囲気だったけど、やっぱりかー」
「ハッハッハ。あたしらが幹事やると、必ず一組はカップル生まれるな」
「そうねー」
「でもノブキは」
「うん?」
「誰ともくっつかないね。ノブキのこと狙ってる子、何人もいたのに。
ノブキはさらりとかわすな。なんで?」
「なんでって」
せーちゃんが好きだから。とは言えない、意気地無しの僕。
「せーちゃんこそ」
「うん?」
「せーちゃん人気あるのに。なんで誰ともくっつかないの?
俺、毎回誰かしらせーちゃんとの間取り持ってって頼まれるの、正直しんどいんですけど」
僕の気持ちを知りもしないで、と少し恨みがましく、お酒をちびりちびり飲みながら聞いてみた。
「なんでって…
ノブキが好きだから?」
……
……
「……ハイ??」
…