レンズの向こう側

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 (★)

【♪~。お風呂が沸きました】

 ノブキが予約してくれてたお風呂の沸き上がりコールが鳴ったけれど、あたし達はお構い無しだった。

「ふ…ゥン、ノブ…ゥ」

 胸から鎖骨、首筋、耳たぶと徐々に上へ上がるノブキの唇。

「せーか。こっちみて。そっぽ向かないで…」

 そう言われたからノブキの方へ顔を向けると、ノブキはすかさず唇を塞いできた。

 舌が入ってくる。

 今まで、先を少し触れる位のしかノブキとした事がなくて、いきなり全体を絡められて、びっくりすると同時にイケナイ気持ちが沸き上がる。

 それと同時に、胸を揺さぶっていたもうひとつの手がツツツと下へ下りて、スパッツの中に入ってきた。

 あたしの下着の上から、ノブキの指が割れ目を丸くさする。

「…ッ」

 みぞおちの妙なモゾモゾに耐えられなくなって、ギュッと目を瞑るあたしに、

「せーか。こっちみて…」

 キスと指の動きを止めないままいじわるを言うノブキ。

 催眠術にでもかかったみたいに、そっとまぶたを上げる。

 ノブキの熱っぽい眼差しにドキッとして。

 あたしの目と。

 ノブキに触られている所が。

 じわっと濡れた。



「せーか?

 …キモチイイ…?」



 ノブキに問われて、羞恥心が前に出てきた。



「ばか…きかないでよ…」



 目を両手で覆うと、すぐにどかされた。

 少し恨むように見つめると、ノブキはクスリと笑って、またいじわるを言った。



「キモチイイっていって。

 せーか。

 キモチイイよ、ノブ、っていって…」



 あああ。ばか。



「…っ。

 ノブ。

 キモチイイよ、ノブ。





 …オカシクナッチャウ…ッ」



ノブキに溺れていく、あたしもばかだ。





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