レンズの向こう側

40/48ページ

前へ 次へ

 (★)

「…ホラやっぱりぃ…おれのせいじゃん…」

 ノブキは耳から顔を離して、下にいるあたしを切なそうに見つめた。

 あたしに頭を抱えられたままなので、すごく至近距離。

「言い訳を…させて貰える…?」

「うん…?」

 ノブキが少し目を泳がせながら言うので、あたしは首を傾げた。



「おれ、抱きしめたの覚えてるよ…

 正確には…夢の中でせーかを抱きしめてて…

 せーかが、せーかがね、

 【せーかってよんでよ、ノブ】って…

 すごく甘えたカオで…言ってて…

 それでおれ、夢なんだけど色々ぶっ飛んじゃって…

 せーかって何度もよんで…





 …おねがい引かないで」


 
 ノブキの話にすっかり固まってしまった(笑) あたしに、ノブキはすがるように言った。

 その様子が可笑しくて、可愛くて、あたしは目を細めた。

 そこからの、突然の呼びすてで、ノブってよんで、だったんだ。

「引かないよ」

 あたしが少しノブキの頭を引き寄せてキスをしたので、ノブキは目を丸くして頬を赤らめた。

 唇をくっつけたまま、あたしは続けた。

「あのね、大きくなって止められない自分の気持ちがコワイ…

 ノブ、スキ。

 ノブをこんなにスキでいい?

 ノブもおんなじ?

 ノブを全部受け止めるから…

 ノブもあたしを…





 …全部受け止めてよぉ…」



 言い終わるか終わらないかの内に、ノブキの手があたしのカラダのラインをなぞりだして、あたしの言葉尻を1トーン上げさせた。



「せーか。

 すごくスキ。

 ガマンしてきた分…



 …やさしくできないかもしれないよ…」



 シャツの裾を鎖骨まで捲られて、ホックの外れたブラも一緒に上に上がって、あたしの胸がノブキの目の前で晒された。

 部屋の空気を冷たいと感じる前に、片方を優しく揉まれ、もう片方はノブキの口に含まれ、あたしの体温は一気に上昇した。





40/48ページ
スキ