レンズの向こう側
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(★)
(うわ、うわ、うわ…)
寝言、だよね?
っ、でも。
初めてされた、呼びすて。
こんなに心臓が飛び跳ねるなんて。
こんなに顔が熱くなるなんて。
今までにない気持ちでノブキを見つめる。
するとノブキがうっすらと目を開けた。
顔を見られたくないと咄嗟に思って、ノブキの胸に顔を埋めたのがまずかった。
ノブキのにおいが鼻をくすぐって、また心臓が暴れて、思考がメチャクチャ。
浅くしか呼吸が出来ないで、どうしよう、どうしよう、と思っていると、
「どーした…せーか…」
まだ夢の中なのか、瞳を閉じたまままた呼びすてる。
あたしの両こめかみから手を差し入れて、いつまでも下を向いたままのあたしを、無理に上に向けさせた。
「おれ…せーかぁ…」
あたしの唇を食み始める…起きてるの? 寝呆けてるの? そんなに連呼して、ノブキズルイ…
ノブキの唇の熱さと柔らかさにぼうっとなっている内に、二人の体勢が変わっていく。
ノブキが上、あたしが下、キスを続けながら、ノブキの片膝があたしの脚の間を割って入ってきた。
(…ッ)
服越しに伝わるノブキの肌と重みを全身で受け止める。
女のあたしが言うのはおかしいかな、理性が吹っ飛びそう。
このままここで
ノブキと一線を越えるのかな
ずっと望んでた事
でも
はっきりと目を覚ましていないノブキ
全て終えて
…もし何も覚えていなかったら?
「……ふ…うぅっ……」
ノブキの手が頬から下へ滑ってあたしの胸の膨らみに触れた時、あたしは嗚咽を漏らした。
…