シークレットガイド
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#サイクリングロード
坂本輪業から自転車を押しながら、灯琉、僕、芦屋クン、えだっち、今ちゃんの順で一列に歩く。
「芦屋ぁ? 引っ越し前のとこにも、サイクリングロードってあった?」
サイクリングロードの敷地に差し掛かった所で、先頭の灯琉が振り返って聞いてきた。
「あぅ…うぅん、無かったよ…本当に自転車だけなんだね…?」
灯琉にビクビクしながら答える芦屋クン。
今日の自転車旅で二人の距離が縮まればいい、というのも今回の目的の内。
「芦屋クン。ここ、サイクリングロードのちょうど中間点なんだよ。
今日はあっち方面の終点まで行くよ。向こうへは…まぁ、次の機会にね」
「そーそー。今日はな、俺達の秘密の場所に連れてってやっからな」
「その途中も色々楽しいとこあるからね、芦屋クンを案内してあげようって、僕らで決めたのさ」
「オススメの駄菓子屋には、絶対寄ってってよぉ?」
僕達が口々に言うのを、芦屋クンは今日の終着点の方を眺めて、頬を紅潮させながら聞いていた。
「あっオイ。ランドセルは、背中のままな?」
「えーっ? なんでよ。カゴに入れさせてよ」
「なんでも! ランドセル背負うって事に意義がある!」
「ワケわかんない!」
灯琉とえだっちがギャースカ言い合う、これも割りといつもの事。
結局灯琉の言い分が通る、これも割りといつもの事。(笑)
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