シークレットガイド

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 #レンタサイクル



「どの自転車って、全部同じでしょうよ」

 えだっちが溜め息をついて言った。

 そう、この店のレンタサイクルは全て、赤いフレームに黒のハンドルと車輪の自転車。カゴにはでかでかと『坂本輪業レンタサイクル』のプレート。

「そりゃそーよ。ひと目でレンタル物って分からないと。
 おっと、そうだそうだ。これを今の内に。母ちゃんに忘れずに渡すんだぞ」

 そう言っておじさんは、僕達一人一人に紙を配った。レンタサイクル1日料金(保険含む)の領収書。前もってみんなから集金して、ここに渡していた。

「ってか、なんでレンタサイクル? 自分のチャリじゃダメなんか?」

「あ、芦屋クンがまだ持ってないんだよ。向こうで前のを処分しちゃって、こっちで買うつもりなんだよね?
 あと、今ちゃんも自分のが無い」

「そうだよぉ。お母さんの借りてるぅ」

 僕と今ちゃんが説明すると、おじさんは顎に手を宛がいながら、ふぅん? と呻いた。多分、訳が分からないんだろう。

 僕達5人がお揃いの自転車で出掛けるという事に意義がある、それは別におじさんには言わなくてもいいだろう。

「ま、いいや。サドルの高さ合わせてやるから、早く選びな」

 おじさんのひと声で僕達は散らばり、それぞれ自分の相棒となる自転車を選び出した。





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