シークレットガイド

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 #灯琉の告白



「俺の父さんと母さんが…離婚するんだ。
 母さんは…この町を出て…
 父さんは…東京に…転勤が決まって…
 東京…父さんの故郷で…
 お前は父さんと一緒に…おばあちゃん家に行くんだって…
 俺…父さんに…つい…て…」

 灯琉の声が詰まる前から、僕達はボロボロと涙を落としていた。

 僕はこの話を…灯琉の両親が離婚するかもしれない事を、夏休みに入る前から知っていた。

 「うちの親、またケンカしてるよ」と冗談まじりで灯琉がこぼしていたのと、幼なじみ同士の僕のお父さんと灯琉のお父さんが夜中に電話で話していたのを、偶然聞いてしまっていた。

(離婚しか、ないのか? 灯琉は、どうするんだ?)

 お父さんのその言葉を聞いた翌朝、灯琉が苦しそうな顔をして僕の家にやってきた。

「真守、俺わかんねぇ。どうすればいいかわかんねぇ」

 灯琉の両親がよく話し合えるように、僕達家族はちょくちょく灯琉を預かっていた。

 仲間と遊んでいる時は揚々と明るい灯琉だったけど、夜家にいる時は黙り込んで、ぼんやり考えているようだった。

 そしてついに離婚が決まって、灯琉を連れていくというのを僕が知ったのは、2学期が始まってすぐの時だった。

「みんなにはまだ、内緒だぞ。今は、俺とお前だけのヒミツだかんな」

 登校中に灯琉にそう言われた日、芦屋クンが転校してきた。

 おどおどしながら、黒板の前で自己紹介をする芦屋クンを見て、

「あんなにキンチョーしなくていいのになぁ。
 …俺も、するのかな」

 と灯琉はポツリとつぶやいた。





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