シークレットガイド
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#秘密基地
空橋のたもとに戻ってきて、僕達はまたサイクリングロードを走った。
終点は本当に突然で、アスファルトから砂利道になって、その砂利道はまだずっと先の方へ続くけど、それはサイクリングロードではなくてただの林道。
僕達は林道になってすぐに、右へ反れた。
ガタガタと車輪を震わせながら辿り着いたのは、緩やかな斜面にポッカリ空いた大きな洞穴。
「ここは…?」
芦屋クンが固唾を飲んで聞く。僕達は穴の前に整列して、芦屋クンを一斉に見た。
「ようこそ。僕達の秘密基地に」
僕がそう言うと、芦屋クンの顔がぱぁっと輝いた。
「あ、でもまだ完成じゃないぜ? まだ掘らなきゃいけなくて…芦屋にも手伝ってもらいたいんだよ」
「ここさぁ、夏休みに見つけて。どうも誰かの掘りかけみたいでね。僕らで完成させようって、夏休み中ずっと掘ってたんだよ」
「割りと奥の方までねぇ、掘れたんだよぉ。あとはぁ、上を繋げて外に出るようにしたいんだぁ」
「今日そこまで、出来るといいけどね」
僕達が口々に言うのを、芦屋クンはゆっくりと聞いていた。そして、
「ウン、やりたい。やろうよ。繋げようよ。ボク、何でもやる。あ、その前に…念の為薬飲んでおこう」
ランドセルからお母さんに渡された薬と水を出して、急いで飲み込んだ。
「よーっし。5人で、出来るトコまで頑張ろうぜ!」
灯琉が差し出した右手の甲に、僕達は次々に右手を重ねていった。
…