シークレットガイド
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#空橋
「ほら、先生からの餞別だよ。今日は暑いからね、水分補給はしっかりね」
みよちゃん先生がお目当ての食パンのついでに、僕達の分の飲み物も買ってくれた。
「あんまり遅くならないよう、ほどほどに!」
そう付け加えて帰っていく先生を見送ってから、途中だったもんじゃを急いで掻き込んだ。
「よっしゃ、俺達もボチボチ行くぜ」
「おぉーっ」
すっかり食べ終えて、僕達は再びサイクリングロードに舞い戻った。
シャーッと自転車を走らせて、僕達はいよいよサイクリングロードの終点近くまでやってきた。
「うわぁっ…!」
芦屋クンが向かい風を受けながら目を見開く。
大きな吊り橋。と言っても山奥にあるようなギシギシと細い木製の物じゃない。ちゃんとコンクリだし、道幅も広い。
下を流れる、この町一番の大きな川のずっと上に架かるこの橋は、まるで空に浮かんでいるようだった。
川に卵を産み付ける為か、赤トンボが沢山飛んでいて、秋が近いことを伝えていた。
「まだ時間あるよな? ちょっと川に降りて行こうぜ」
灯琉はそう言うと、空橋をサーッと駆け抜けて、渡り切ってすぐ傍にある、川への細い抜け道を降りて行った。
僕達もそれに続いた。
…