シークレットガイド

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 #みよちゃん先生



「えーっ、みよちゃん先生だ!?」

「なんで先生がいるの!?」

 わらわらと先生の周りに集まる僕達。こらこら火は消しなさいよと、店主のおばあさんが慌てて鉄板の火を落とした。

 気さくで姉さんみたいな先生、美代子だから、みんなみよちゃん先生って呼んでる。先生も好きに呼ばせていた。

「あっはっは。先生んちはこの辺だよ。食パン安いからよく買いに来るんだよ。
 おんなじ自転車が5台も並んで、なんか聞いたことある声するなーって思ったらさ。君達だし」

 僕達の自転車の横に、ベビーカーがくっついて並んでいた。赤ちゃんが乗っていて、スヤスヤ眠っている。

「あーあー、静かにね。さっき眠ったばかりだから」

 先生はしぃーっと人差し指を口に宛てて小声で言った。

 先生にいつの間に赤ちゃん!? と頭がこんがらがりそうになったけど、よくよく話を聞くと、妹さんの子で今日だけ預かってるらしかった。

「で、君達は? 芦屋を案内してあげてるの?」

「せーかぁい。今、昼飯タイム」

 先生とヒソヒソ喋りながら、僕達は赤ちゃんの周りを囲った。

 本当によく眠っていて、時々もごもごと口が動くのが可愛かった。

「先生、赤ちゃん何歳?」

「まだ0歳だよ。6ヶ月」

「触っても大丈夫?」

「やさしくね」

 先生の承諾を得て、僕達は赤ちゃんの人差し指を握ったり、柔らかい髪の毛を撫でたりした。

 先生はそんな僕達を、いや、灯琉の横顔をじっと見つめて、その次に僕を見た。

 僕は…その言いたげな視線の意味を知っている。

 僕は先生に、静かにうなずいてみせた。





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