シークレットガイド

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 #灯琉




「ごめんごめん」

 みんなの前へ辿り着いて改めて詫びても、灯琉はしかめっ面を崩さない。

 三白眼の猿顔。なかなかの迫力。

「けっこう待ったぜぇ、日曜なのにランドセル背負ってさ!」

「なに言ってんの、灯琉が言い出しっぺでしょ?ランドセルの事は」

「あーら、そうだったかしらぁ?」

 ウケケとごまかす灯琉。どういうつもりか知らないけど、ランドセルを持って集合! と昨日の夜に突然電話をかけてきたのは、紛れもなくこいつ。

 僕と灯琉は、父親同士も幼なじみで、赤ちゃんの時からの付き合い。

 物心がついた時にはもう灯琉はこんな風で、クラスのみんなには『横暴』とか『自分勝手』とか言われることもあるけど、根はいいやつって分かってるから、少なくともここにいる仲間は灯琉を嫌ってなんかいない。

 あ、でも、転校生の芦屋クンはびくついてる。ほら、僕の後ろに隠れちゃってる(笑)





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