シークレットガイド

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 #木の上から



「うひーっ、コワッ!」

「もうぅ、無理ぃ。これ以上登るの、無ー理ーぃ」

 灯琉とヒロくんのクツが引っ掛かった所で、えだっちと今ちゃんの泣きが入った。

 そのちょこっと上の方で芦屋クンがギブアップ。

「はぁっ…ボクも…ここが限界…」

 灯琉は、まだこの倍近くの高さにまで登っていってる。

「真守、行けるか?」

「うん。3人とも、ここにいるか下に降りるかしてね」

 離脱した3人にそう言って、ヒロくんと共に上へ登り続けた。わずかな足場を見つけては、慎重に足を掛ける。

 学校の屋上くらいの高さまで来たところで、灯琉が比較的太い枝に跨がって、遠くを眺めていた。

「やっぱりお前、サル。こんな所までヒョイヒョイ来やがって」

 ヒロくんが近寄ってきたのに気づいて、灯琉は向こうを指差した。

「なぁなぁ、アレ。オマエんち見えるぞ。坂本輪業。俺達自転車借りたから。オヤジさんにお礼言っといて」

「はー? レンタル? わざわざ? っていうか、お前らが言えよ、どうせ返しに来んだろ」

「オマエどうせお昼食べに帰るだろ。俺達は夕方まで帰らねーもん。
 真守ぅ、腹へったな。ぼちぼち行くかぁ。今田もそろそろ限界じゃね?」

 下を見ると、えだっちと今ちゃんと芦屋クンはとっくに地面に戻っていて、灯琉の言う通り、今ちゃんがお腹すいたと駄々をこねていた。

 僕達は笑いながら木を降りていって、自転車の所へ戻った。

「うわー、まじで店のチャリだ。てか、なんでランドセル持ってきてんの? ヘンなのーっ」

「ふふ。またね、ヒロくん」

 ヒロくんに不思議そうな顔で見送られ、僕達は自転車の旅を再開した。





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