シークレットガイド

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 #あまのじゃく



「芦屋クン、こんなアホの猿の傍になんかいたら、キミもアホになるよ」

 智子が腰に手を宛てて言う。

「フン。オメーこそなぁ、芦屋に構い過ぎ」

 灯琉が自分の前に芦屋クンを立たせて、後ろからがっしりと両肩を掴む。芦屋クン、固まる。

「級長だもん。先生からも頼まれてるし。ほら、アンタのせいで芦屋クン固まってんじゃん」

「級長は真守も同じだろ。男子の事は真守に任しときゃいーの。芦屋はもう、俺達の仲間なの。なァ、芦屋?」

「あ、えと、そのぅ…」

 灯琉と智子に挟まれて、芦屋クンは目を回しているようだった。

 智子は気が強く、クラスの男子にいっぱしの睨みをきかせて、それでオトコ女なんて呼ばれてるんだけど、転校生の芦屋クンにだけはびっくりするくらい優しかった。

「ふん…別にいいけど。私ら、明日のテストの勉強しに図書館行くの。
 アンタはせいぜい遊び呆けた後で悪あがきすればぁ?
 あ、真守くん、芦屋クンがそのアホ猿の色に染まんないように、級長としてちゃんと見張っててよ?
 行こ、さっちゃん」

「かーっ、イチイチ癪に触る言い方! 行こーぜ、真守!」

 前下がりの短い髪をふわっと浮かせて僕達に背を向ける智子、自転車に跨がって一人漕ぎ出す灯琉。

「じゃ、また明日ね。真守くん」

「ウン。また明日」

 水島さんに小さく手を振って、灯琉と、灯琉の後に続いたみんなを追いかけた。

「たくよー、なんでアイツ、あんなうっさいの。こんなトコで会うなんてサイアクゥ」

 灯琉がブツブツ言ってる。

 ほんとは会えてウレシイくせに。

 智子を好きなんだって事、僕にはバレバレ。

 智子が芦屋クンにだけ優しくて苛々してるって事も、バレバレ。

 それを灯琉は、知らない。





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