シークレットガイド
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#内緒
「おにーさん、誰かの応援?」
「わかった! カノジョだ?」
僕達の冷やかしに、はっはっはと乾いた笑いをして、お兄さんはふと遠くを見やって言った。
「チガウチガウ。女の子だけど、マブダチ。
…一番近いトコにいたのは、確かだけど。
剣道やっててさ、チョー強ぇの」
「好きだったんだ?」
「片想いだったんだ?」
「フラれたんだぁ?」
「キミ達…容赦ないね」
僕達、いや正確には灯琉とえだっちと今ちゃんが、やいのやいのと囃し立てるから、お兄さんはグシャグシャに僕達の頭を撫で回した。
僕と芦屋クンは何も言ってないのに、とんだとばっちり。
「くっつけようとしたの、オレなのになぁ。
実際にそうなってみりゃ…
…ばかだな。気付くの、遅いっつーの」
独り言のように言うから、なんて返せばいいか分からず、僕達は顔を見合わせた。
「キミ達は…誰かを好き? カノジョとかいたりすんの?」
物憂げな表情から一転、ニヤリと笑みを浮かべてお兄さんは聞いてきた。
「いるいる! コイツねコイツ」
「休みの日にね、図書館デートなんかしちゃったりしてんの」
「ひゃあぁ、ドキドキぃ~」
「なっ。見ず知らずの人にナニぶっちゃけてんのさ!
だいたいね、そんなんじゃないんだから!」
「ほほーっ、それはそれは。青春だねぇ~」
いじりの対象が僕に刷り変わって、お兄さんがホッとしたところで、
「アレ? おぉーい? キタガワぁ?」
バイクの方から男の人の声が聞こえてきた。
「あっにーさん、コッチっす。
…さっきの話、あのヒトには内緒な」
お兄さんはシィーッと人差し指を口に宛てて、僕達に目配せをした。
…