空の兄弟〈後編〉

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 元々は村の公民館だったのを、疎開してきた子供達の為の学校とした木造の建物が、落陽を浴びて黄昏色に染まる。

 疎開してきた子供達──ほとんどが初等科の子供達、一部高等科の男女生徒──の生徒がいっぺんに集まり犇めく校舎は、今はしんとしていた。

 初等科の子供たちはとっくに下校の時間だし、高等科の男女は今日も授業を放棄させられて何処かへ奉仕に出掛けているのだろうか。

 鷹はしばらく誰もいない校舎を眺めていたが、ふと悟の傍を離れて、校庭の隅にぽつりと佇む鉄棒の高い方にぶらりとぶらさがってみた。

 そしてひらりと棒の上へ上半身を乗せて、うまく棒の上に腰を落ち着けた。

「た

 悟は鉄棒の柱に絡みつき、鷹を見上げた。

 鷹は何も応えなかった。

 黄色から赤に移る夕日を、いや、夕日よりもっと遠くのものを見つめていたのかもしれない。

 その証拠に鷹は、

「空襲警報、どこだろうな、聞こえる…」

 と、ぽつり呟いた。





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