空の兄弟〈後編〉

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「おめでとう、鷹ちゃん!」

 家の外から誰かのそう叫ぶ声が聞こえて、その間もなくわあっと歓声が湧いた。

 何事かと思って幸代と悟が表に出ると、村の人たちが玄関を半円に囲っていた。

「水戸部さん、おめでたい門出ですな」

 どうやら鷹の出兵を聞きつけて祝いの言葉を掛けに来てくれたらしいのだ。

 でもなんでみんな出兵の事を知っているんだろう、あの電報が届いてから十分も経っていないのに?

 しばらくして、狂喜のあまり家を飛び出したままだった鷹が戻ってきた。

 彼はみんなの顔を見るなり、顔を赤くした。

「あれまあ」

 そんな鷹を見て、幸代は肩をすくめて苦笑いをした。

 彼のとち狂った姿が、こうして村の皆の注目を集めたのだった。

「万歳、万歳、万歳!」

 集まってくれた皆が、鷹の為に万歳三唱をしてくれた。

 鷹はただひたすら照れることでそれに応え、その横で幸代が深くお辞儀をして厚く礼を申し上げた。

 そのまた横で悟は村の皆と共に万歳をしながら、さっきの鷹の失態を心の中であざけ笑った。





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