空の兄弟〈後編〉

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 それから二週間くらい過ぎて、偶然四人の少年たちが集った。

 四人は同時に林を見た。

 黒猫が心配でたまらなかったのである。

 この時、ちょうど悟と一緒に鷹がいたので、彼を保護者として林の中へ入ることが出来た。



 黒猫の住処に着くと、そこで、まるで彼らを待っていたかのように黒猫が立っていた。

「カン太丸、おめ、おなか空いとらんだか?」

 易が喜びのあまり声を震わせてそう言うと、黒猫はかつての美しい声でひとつ鳴いた。

 そして後ろを向き、林の奥へ姿を消した。

「仔猫がいない」

 清作が言った。

「住処を変えたんじゃねえか? 俺たちが来なかった間に、そこに運んでいったのさ、きっと」

 洪助は少し考えてからそう言った。

「餌あげてやれなかったから、怒ってるんだべかなあ…」

 易は寂しそうに言った。

「あーあ、俺、赤んぼ抱いてみたかったわ」

 深い溜め息をついて、悟はこの場を去ろうと歩き出した。



 意気消沈の足取りで四人の少年たちが歩く後ろで、鷹は昔本で見た吐き気のする一説を思い出していた。

 ──人間がやたらめったら生まれたばかりの仔猫に近づくと、母猫は隠す為に子供たちを食ってしまうことがある──

 この時はもちろん、一生鷹はこの事を彼らに話すことはなかった。

 何故なら、それは幼い坊やたちに聞かせるにはあまりにも残酷過ぎたし、今話さずとも、彼らがもう少し大きくなった時に、いつかこの事を聞くか読むかするかもしれないと…

 鷹は思ったからである。





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