空の兄弟〈後編〉
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ところが、幸せな気分はぶち壊れた。
四人の少年たちは親たちから謹慎処分を喰らってしまったのである。
「子供だけで林に入るんじゃないって、いつも言っているだろう!」
「食べ物持っていっているのはお前だね?
なんて馬鹿なことを。今は戦争で物のない時だって、お前にはわからないのかい?
わからないなら家を出ていきな」
「いたずらにも程がある!」
黒猫の事を全く知らない、子供たちの犯行現場を目撃した親たちが非難の嵐を起こす。
洪助、清作、易はそれぞれの家で自分の親にこっぴどく叱られた。
ただ一人、悟は叱られなかった。
林にしばしば入っていた事を幸代に少しきつく注意されただけだった。
でも悟はもうこれ以上幸代に心配かけたくなかった。
黒猫が仔猫を産んで、彼らが餌を運んだ回数はたったの二回だった。
林に入るのを禁止され、食べ物を持ち出すのを禁止され、こんなことになってしまってあの美しい黒猫の家族は、一体どうなってしまうんだろう。
叱られたその日、易は家を飛び出し、小川の板橋の下で泣き吠えた。
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