空の兄弟〈後編〉

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 二人は林から出た。

 するとそこは、悟の家の真向かいだった。(もっとも家はもっと遠くにあるのだが)

 小川の板橋に戻ると、かばんを担いだ洪助と清作がウロウロしていた。

 悟達の姿を見るなり、洪助が、何をやっていたんだ、と怒鳴った。

 易はこれまでの事や、これからしてほしい事を、洪助と清作に話した。

「なあ、赤ちゃんどんなだった?」

 洪助は目を輝かせて言った。

「さあ、遠くてよう見えんかったわい」

「なんだ、頼りにならねえの」

「はは、カン太丸怒ったんだろ? 猫は生まれたての仔猫見られるのすごく嫌がるからね。
 一週間くらいしたら目が開くから、そしたら近くに行っても大丈夫だと思うよ」

 清作がまた知識をひとつ披露すると、他の三人は思わず拍手喝采した。

 新しい生命を懸命に形にした、あの美しい黒猫の為に、四人の少年たちは夕焼けの中で万歳三唱をした。





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