空の兄弟〈後編〉
24/83ページ
二人は林から出た。
するとそこは、悟の家の真向かいだった。(もっとも家はもっと遠くにあるのだが)
小川の板橋に戻ると、かばんを担いだ洪助と清作がウロウロしていた。
悟達の姿を見るなり、洪助が、何をやっていたんだ、と怒鳴った。
易はこれまでの事や、これからしてほしい事を、洪助と清作に話した。
「なあ、赤ちゃんどんなだった?」
洪助は目を輝かせて言った。
「さあ、遠くてよう見えんかったわい」
「なんだ、頼りにならねえの」
「はは、カン太丸怒ったんだろ? 猫は生まれたての仔猫見られるのすごく嫌がるからね。
一週間くらいしたら目が開くから、そしたら近くに行っても大丈夫だと思うよ」
清作がまた知識をひとつ披露すると、他の三人は思わず拍手喝采した。
新しい生命を懸命に形にした、あの美しい黒猫の為に、四人の少年たちは夕焼けの中で万歳三唱をした。
…