空の兄弟〈前編〉
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7、8歳くらいの3人の男の子だった。
学生帽を深く被った、負けん気の強そうな子。先程清作と呼ばれた、髪がちょっぴり長い(悟ほどじゃない)つぶらな目の子。北の方の訛りのある、大仏の様な顔の子。
「ちっ、あいつらか」
鷹は即座にしかめっ面をした。
元々年下の子供の扱いが苦手な鷹の子供嫌いに拍車をかけたのは、まさにこの子達だったのだ。
このままそこにいられては仕事にならない。追っ払いに行くのも嫌だが仕方ない。
鷹が鍬を持ったままその子たちの所へ行こうとしたら、
「おいこら、あいつの畑に何すんねん」
今までどこにいたのか、悟がひょっこり現れて、地上に出ているさつまいもの蔓に手をかけた3人の後ろから凄んだ。
それに驚いて3人同時に振り向いたら、奇妙な言葉を発する豊かな黒髪のこの少年が目に入って、更に驚いた。
恐怖に近い視線を注がれて、
「何ジロジロ見とんねん。はよここから去れや」
苛々しながら、持ち前の鋭い目で3人を睨む悟。
「な、なんだこいつ。変な言葉しゃべってるなあ」
「んだんだ」
「ヤッちゃん人のこと言えないだろ…」
大阪ことばの悟の出現に、3人は戸惑っている様だ。
面白そうだから 鷹はしばらく様子を見ることにした。
…