空の兄弟〈前編〉

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 悟は再び布団の中に入れられて、ふうふうと幸代の冷ましたおかゆを食べた。

 さっきとうって変わってとても子供らしい様子。

「お前、悟って名前やめたんだろう。叔母ちゃんに悟って呼ばせたままでいいのかよ」

 鷹が嫌味を込めて言うと、

「空悟…って言ったっけ、確か」

 幸代は思い出したようにそう言った。

「なんだ、聞いてたの」

「うん。
 いい名前だけどさ、今まで悟くんで呼び慣れた私には言いにくいよ」

「そういうこっちゃ」

 べーっと舌を出して、悟はそれを鷹に向けた。

 むっと頭にきて、鷹は悟を鋭く睨む。

「こら、ケンカなんかするんじゃないの。あんたたち一緒の部屋で当分過ごすんだから。
 じゃあ鷹坊、あとはお願いね」

「えーーーっ!!」
「えーーーっ!!」

 同時に不満の声をあげる鷹と悟を無視して幸代が部屋を出ると、二人お互いの顔をちらと見て、

「ふんっ」
「ふんっ」

再びそっぽを向いた。





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