ハジメの一歩
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ホノカの瞳孔が…目一杯に開かれた。
「え…え…? あっ…」
ホノカの目がウロウロと落ち着かない(笑) その動きに俺も必死についていく。
俺が視線を外さないもんだから…クルッと、丸イスを半回転させて背中を向けられた。
おーい(笑)
無造作に垂れ下がったホノカの指先に手を伸ばして…ギュッと握った。
そこから、俺の鼓動が伝っていきそう。
「ハッ…ハジメさん?
なんで……私……?」
こっちを見ない、ホノカの消え入りそうな声。
ホノカも…俺の指を握り返す。
「なんでって(笑)
…好きになっちゃったんだよ。
………ダメ?」
「っ…
…ダメ………じゃない…」
「…聞こえない…こっち向いて?」
ホノカの丸イスをまた半回転、こちらに向けさせたけど、ホノカは俯いたまま。
タツミくんの歌はとっくに終わっていて、何か別の事を喋っていたけど、俺の耳には全く入って来なかった。
ホノカの言葉を聞き漏らしたくない、ホノカの息づかいさえ敏感に拾う。
ホノカはしばらく黙って…ふっと短く息を吐いてから…顔を上げた。
頬を真っ赤に染めて…かわいい。
「…ダメじゃ…ないです…
あの…あの…
私でよければ…
よろしく、おねがいします…」
ごにょごにょと言いながら、俺の指をこねくり回すホノカ。
「ちょ、っと、くすぐったいって(笑)」
「エ? あ、ご、ごめんなさい。
…ふっ。ふふ…っ」
俺の指とホノカの指が、握ったり、握り返したりを繰り返して…笑いが止まらない。
「…スキあり」
ホノカの、え? という声をさらって
握った指を少し上に持ち上げながら
ホノカの柔らかい唇にキスをした
…