ハジメの一歩
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「え、え、そ、そ、そんな…ダメですって。
ムリ、ムリ、ムリですっ。
そんな迷惑、かけられませんっ。私、重いしっ」
ホノカが挙動不審(笑) 真っ赤な顔で、一歩後ろへ後ずさる。
「その足で歩かせられるワケないだろ? もう、ムチャなんかさせねぇよ。ほら、早く」
後ろで両の手のひらを上に向けて、クイクイと動かす。
「で、でも…」
「…ホーノーカ。はーやーく」
「っ!」
今、明らかに息を飲んだな。俺だって…探してる時に大声で叫んじゃったけど、恥ずかしいよ。だから、今、顔見れねぇよ。
「26なめるなよ? 少なくともキタガワよりは…力持ちだぞ?
あ、でも、俺の荷物持って貰えると助かる(笑)」
「(笑) …ハイ…じゃあ…」
ようやく、おずおずと俺の背中に身を預けるホノカ。
ホノカの膝裏に手を入れて、一気に持ち上げた。
「わっ…」
「ちょっ…ホノちゃん? もっと…背中に寄っ掛かってよ?」
体重をかけるのを遠慮しているのか、俺の背中とホノカの間がやたら広く空いていて、余計におぶりづらい。
「え…や…でも…」
「後ろに倒れるぞ? ホノちゃんも…俺も(笑)」
「う…そうですよね…わかりました…
でも! 疲れたらすぐに下ろして下さいね? 休みながら行きましょうね?」
「わかったわかった(笑)」
ホノカがゆっくり…俺の背中にくっつく。
うわ…やわらかい。いやいや、今はそんな邪念持ってる場合じゃない。
「じゃ、行くぞ?」
「うわっ…」
ホノカに下ろせだの休めだの言われない内に、俺はなるべく早足で歩いた。
…