ハジメの一歩

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 もう、自分の鼓動なのか、花火の振動なのか、ごっちゃになって分かんねぇ。

 けど、ハッキリした事があって。



 この手をもう離しちゃダメだって事と…



 …この子が好きなんだって事。



 今日、ホノカの色んな面を見たな。数ヵ月前まで、全く知らない女の子だったのに、俺の中ですごく大きくなってしまったな。

 ホノカがキタガワを好きかもしれなくて、キタガワもホノカを好きかもしれないけど。

 それでも…自分の気持ちを押し込めるのをやめようと思った。

 俺、ホノカを好きでいていい?

 そんな事を考えている間、花火はグランドフィナーレを迎えて、俺達の影がクッキリ出る位、辺りをまばゆく照らした。

「わ、あ、あ、ぁ、スゴイ、スゴイ、スゴイ」

 頬を紅潮させて、眩しそうに目を細めるホノカの横顔を盗み見て、綺麗だな、好きだなって思いながら…また花火に目を向けた。

 パラパラパラッ…と、締めの巨大なしだれ柳が夜空を流れて…花火大会は幕を閉じた。

 周りが帰りの動きをし出した時、俺とホノカはやっと繋がれた指先に視線を落とした。

「…ごめんな。ホノちゃんがまた、どっか行っちゃわないか心配だったから」

 この状態をホノカに見つめられるのが急に耐えられなくなって…手を引っ込めてしまった俺。

 離したらダメって決めたそばからこれだ。情けない。

「いえ…大丈夫ですよ、もう、はぐれませんよ」

 俺に掴まれていた指先を、もう片手で覆いながらホノカは言った。

 周りもほとんどいなくなって静寂が戻る中、俺達はなんとなく、その場から動けない。

 しばらく無言のまま夜景を見つめていたが、ホノカの足が気になって、早くどうにかしてやりたいと思った。

「ホノちゃん? ここに来る途中に、モールがあっただろ? その中に靴屋があったはずだから…
 そこまで、おぶってくから。ほら」

「エッ」

 背を向けて、おぶさるように誘導する俺に、ホノカは目を見開いて固まった。





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