ハジメの一歩
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ドンッ…ドンッ…
次々と花火が上がる。通行人が止まったり、見上げながらゆっくり歩いたりするから、思うように前へ進めない。
ようやく△△橋のたもとに着いた。必死で目を凝らす。ホノカは…見あたらない。人影に埋もれているかもしれない。
「ホノちゃんっ…ホノ…
…ホノカぁーーーーー!!」
周りの人達がビックリしてこちらを振り返る。そんなの、気にしてられねぇ。
聞こえるのは、喧騒と花火の音。ホノカの声なんて、聞こえてこねぇ。
二車線を跨いだ向こう側へも渡って、同じように叫んだけど、ホノカは見つからなかった。
「…こっちには来なかったのかな…やっぱり…」
額から流れてくる汗を、手の甲で拭った。
ホノちゃん。知らない所で、唯一知ってる俺からはぐれて、電話も繋がらなくて、お腹も空いて、不安だろうな?
あの子は、不安をきっと顔には出さないだろうな。ぐっと堪えて…堪えて…隠しきれないと瞳が揺れるんだ。
見つけないと。見つけなくちゃ。
やっぱり、倉庫の方へ行ってみよう。そこでごはんを買う手筈だったから。
息を整えていると、警備隊の人が俺に声を掛けてきた。
「大丈夫ですか? 具合よくないですか?」
俺、そんなにひどい顔してるかな? 心配そうに覗き込んでくる警備隊の彼。
「あ…ヘーキです…ちょっと休んでただけで…
…ちょっと、人を探してて」
「迷子ですか? 他の警備スタッフにも協力を仰ぐので、特徴などおっしゃってくれれば…」
そう言って彼は、無線機を取り出していつでも動けるように準備する。
「あ…え、と…子供じゃないですけど…
21歳の女の子で…背が高くて…多分170くらい…
黒髪のポニーテールで…茶色のドット柄のシュシュしてて…
モスグリーンのチュニックに…白の膝丈のパンツ…」
言いながら、俺、何でこんなに細かく覚えてるんだろうって自分でビックリしてしまった。
俺の言葉を聞いてウンウンと頷いていた彼は、途中であっ! という顔をした。
「もしかして…さっきの彼女の事かな…?」
…