ハジメの一歩

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「ホノちゃーん! ホノちゃーーん!!」

 頭上でパラパラと飛び散る花火に目もくれず、俺は叫び続ける。

 いつから? いつから後ろにいなかった?

 なんで、後ろを気にかけなかった?

 なんで、バッグなんかに掴まらせた?

 いやと言われてもいいから、手を繋ぐんだった。

 ホノちゃん、ここを全然知らないのに。

 後悔ばかりが押し寄せて、なおも焦らせる。

 スマホを取り出す。ホノカの番号を…知らない。なんで、聞いとかないんだよ、バカ。

 人波からそっと外れて、落ち着く所でコールした。ホノカの番号を知ってるヤツ。キタガワしかいねぇ。

 バイクの運転中かもと思ったが、キタガワは2コール目で出た。ちょうどファミレスで仲間と夕飯を食べてるらしかった。

『もしもしー? にーさんっすか? どーしたっすか。海、楽しかったっすか?』

「キタガワ? 今すぐ、ホノちゃんの番号教えてくれ!」

 キタガワのノンビリな応答に、俺は勢いよく被せた。

 はあ? と間抜けな声を出すキタガワに、俺は事情を説明する。

 電話の向こうで、キタガワの空気が変わったのを感じた。

 そして、キタガワは低く刺すように言った。



『なにやってるんすか。

 にーさんがちゃんと、つかまえてなきゃでしょ。

 ホノカに何かあったら





 …ただじゃおかないすよ』





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