ハジメの一歩
59/75ページ
「ホノちゃーん! ホノちゃーーん!!」
頭上でパラパラと飛び散る花火に目もくれず、俺は叫び続ける。
いつから? いつから後ろにいなかった?
なんで、後ろを気にかけなかった?
なんで、バッグなんかに掴まらせた?
いやと言われてもいいから、手を繋ぐんだった。
ホノちゃん、ここを全然知らないのに。
後悔ばかりが押し寄せて、なおも焦らせる。
スマホを取り出す。ホノカの番号を…知らない。なんで、聞いとかないんだよ、バカ。
人波からそっと外れて、落ち着く所でコールした。ホノカの番号を知ってるヤツ。キタガワしかいねぇ。
バイクの運転中かもと思ったが、キタガワは2コール目で出た。ちょうどファミレスで仲間と夕飯を食べてるらしかった。
『もしもしー? にーさんっすか? どーしたっすか。海、楽しかったっすか?』
「キタガワ? 今すぐ、ホノちゃんの番号教えてくれ!」
キタガワのノンビリな応答に、俺は勢いよく被せた。
はあ? と間抜けな声を出すキタガワに、俺は事情を説明する。
電話の向こうで、キタガワの空気が変わったのを感じた。
そして、キタガワは低く刺すように言った。
『なにやってるんすか。
にーさんがちゃんと、つかまえてなきゃでしょ。
ホノカに何かあったら
…ただじゃおかないすよ』
…