ハジメのエピローグ

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 (★)

「…ん…」

 ゆっくりとまぶたを上げると、見慣れない天井が飛び込んできた。

 そうだ、家じゃないんだった。

 俺の脇に寄り添うように眠っているホノカ、何にも着ないで眠ってら。

 っていうか俺も、素っ裸だった。

 昨夜はホテルに帰ってから、もう一度ホノカを抱いて…

 思う存分肌を重ねた夜を、乱れたホノカを思い出して、妙に照れてしまってポリポリと頬を掻いた。

「…うーん…」

 お、ホノカが目を覚ました。

 ホノカの頭の上から「おはよー」と囁くと、目を擦りながら上半身を起こして、

「…おはよう。ハジメ、さん」

 と微笑んだ。

 窓からの朝日をホノカの白い肌が受けて、こんなにキレイなカラダを俺は抱いたんだ。

「…いい眺め」

「!!
 わーっ! 見ないの!」

 ホノカは慌ててシーツを引っ張り出して、あらわにしていた前面を隠した。

 代わりに俺のがモロ出しになりそうになって、

「うわっ、まって、俺だってコレ必要だし!」

 シーツの引っ張り合いになって、二人してやたら本気だからシーツが破れそうになって、慌てて俺はシーツごとホノカを抱きしめた。

 シーツ越しにホノカの柔らかさが伝わる。朝からまたイケナイ気分になってきた。

 今すぐ抱きたい気持ちを抑えて…俺は昨晩中考えていた事をホノカに話す。

「なぁ、ホノー…」

「ハイ?」

「今日帰る前にさぁ、もう一度、お父さんのお墓に寄っていい?
 …報告、させて」

「あ…ウン。わかった」

「それから…お母さんにも。ちゃんとした挨拶をさせて。
 一度家に戻って着替えるかな」

「ふっ…いいよ、そのままで」

「そんなわけにいくか。大事な娘を…貰うんだから」

 そう言うと、ホノカは頬を染めて、俺をいとしそうに見つめて、

「…ウン。ありがとう、ハジメさん」

 とはにかんだ。

「あ、ハジメさんに戻ってる」

「エ? アッ…いや、ほら、たまにって…言ったでしょう…?」

「たまにって、いつ…?」

「アッ…ン…」

 ホノカの唇を柔らかく啄みながらシーツを剥いで、また素肌が絡み合う。

「だぁめ…えっち、ハジメのえっち…」

 ホノカが甘い声でこぼすのを聞いて、ポニーテールを下ろす時とおんなじに、ソノ気になったら呼んでくれるんだと解釈した。



「ホノ。


 もっかいだけ…スルよ」



 ホノカが恥ずかしそうに頷いたのを確認してから、俺はホノカのカラダに思いきり溺れた。



 ホノカの左の薬指に契約の証、朝日に当たってキラキラ輝いていた。



 ホノカは俺のもの。



 ホノカのすべて、俺のもの。



 ずっと、ずっと、永遠に。










ハジメのエピローグ〈完〉





[リアルタイム執筆期間]
2016年4月24日~5月20日

[改稿終了日]
2021年6月24日

[執筆BGM]
どこまでも遠くへ / Something ELse






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