ハジメのエピローグ

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 ホノカの熱が一気に上昇したのが分かった。

 こうなるとしばらく顔を上げられないのを知っているから、好都合とばかりに俺は次の行動に移す。

 ホノカの返事を貰ったから。

 ハーフパンツのポケットに忍ばせていた物を取り出して、ホノカの前に差し出した。

 紺のベルベット生地のちっちゃな箱。

「これ…」

「ウン。多分ホノに合うハズ…」

 蓋をそっと開けて、二連の細いウェーブタイプのシルバーリングを摘まんだ。

 そしてまたホノカの左手を下から持って、それを薬指の付け根に…ゆっくり滑らせた。

 自信がなかったわけじゃないが、ピッタリのサイズで、ホノカの雰囲気にも合っていてホッとした。

 リングの繋ぎ目には、ホノカの誕生石が小さくきらめく。

「へへ…予約完了(笑)」

「(笑)(笑)」

 ホノカはひとしきり笑うと、嵌められたエンゲージリングを恍惚の眼差しで眺めて、

「ハジメさんの誕生日なのに…私が貰ってばっかり」

 ぽつりと言った。

「くっくっ…何言ってんだよ、俺の方がホノにいっぱい貰ってるっつーの…



 ………



 ………



 あー…ホノ?」



「…ハイ?」



「もういっこ、願い事…いい?」





 ヤバい。



 色々盛り上がり過ぎて…



 俺、限界です。





「ホノが欲しい、ホノをちょうだい」





 そう言って俺はホノカのポニーテールの結び目をほどきだす…





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