ハジメのエピローグ
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ザザザ…と波が音で俺達を撫でた。
俺には、全てを伝えろと。
ホノカには、全てを聞き漏らすなと。
…そう、背中を押して貰っているみたいだった。
「ホノにふられる…
とは思ってねぇけど(笑)
でも、ほんのちょっとは不安。
しょうもないゲン担ぎだけどさ。
今日願い事、叶う日だから…
言わせて?
ホノカの事、誰にも譲らねぇ。
俺と…結婚してくれますか…?」
最後の方はもう、絞り出すように言った。
全てを言い切って、今すぐにでもホノカとの距離を0メートルにしたかったけど、まだホノカの返事を聞いてねぇ。
俺はまた深く呼吸をして…この時のが一番苦しい呼吸だった…人ひとり分向こうのホノカを祈るように見つめた。
ホノカが…両目を覆っていた手をゆっくりと下ろす…
本人はこんな涙でグシャグシャの顔って思ってるかもしれないが、この時のホノカほどキレイって思った事はなかった。
「ハジメさん…
こんな私で、いいなら…
………私を貰って………」
俺と同じように声を潰して言うホノカに鳥肌が立って、心臓の辺りがギュウッとなった。
ホノカの手を引いて俺の胸に抱き寄せると、ホノカはアッと叫んで、俺の顎のすぐ下で顔を上げた。
ホノカの鎖骨でキラキラ揺れる、俺が一番最初に贈ったパズルのチャームのチョーカー、ホワイトゴールドのそれを軽く握りしめた。
俺のその仕草を不思議そうに見る、ホノカの視線が集中したその隙に、俺はホノカの耳に唇を寄せた。
「………一生大事にする………」
…