ハジメのエピローグ

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 ホノカが息を飲み、捏ね繰り回していた指の動きが止まった。

 俺とホノカの間は人ひとり分空いて、その真ん中で俺達の指が繋がれている。

 俺の気持ちの全てを言うまでは、ホノカの返事を貰うまでは、この距離を勝手に縮めてはいけないと思った。

「あのさ」

 また、吸った息が緊張で苦しかった。

 ホノカの指を取る手が微かに震えてもいる、ホノカは気付いてる?

 俺の指をちょっとだけ握り返して、俺を真っ直ぐに見つめて、言葉を待っている。

「ずっと…思ってたんだよ。
 ホノと結婚したいって。
 なんかキモい事言っちゃうけど…
 多分付き合い始めた時から漠然に思ってた」

「(笑)」

 そんなことない、って小さく笑うホノカに救われる。

「決定打は…勇実とタツミくんの結婚式だったなぁ。
 アイツら見てて、俺の横はホノだろって、強く思った。
 ホノが大学を卒業したら…って、ずっと考えてた。



 でもな…



 ホノのお母さんに…言われちゃったんだよな。





 帆乃夏はまだ渡せない、って」





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