ハジメのエピローグ

12/28ページ

前へ 次へ


 付き合ってた事は墓場に持っていくつもりだった俺。

 ところが…わりと最近の話、ある日ホノカと飲んでいて、珍しくホノカが悪酔いして(笑)

 悪酔いながらも艶のある眼差しで俺に絡んできた、

「ハジメさん、しょーじきに答えて下さいね?
 お付き合いしたヒト、私以外何人いた?」

 ぶっと口に含んだビールを吹き出しそうになって、気管のへんなトコに入ってゲホゲホと咳き込んだ。

 何を突然藪から棒に、と思ったけど、数日前にホノカが会社の連中と新歓で飲みに行ってたので、そこで何か吹き込まれたな、と瞬時に悟った。

 ホノのヤツ、皆の前では滅多に飲まれないって言うけど、ほんとに俺の前だけだろうな? こんな色っぽいホノ、誰にも見せたくねぇんだけど。

 なんて考えながら、俺はホノカの質問に答える。酒の席だからなるべく軽快に。

「えー、っと、そんないないぞ? どれも付き合い短いし…
 高校の時にひとりと…卒業した後にひとり、ふたり…
 ホノに出逢うまで縁なかったよ、まじめな話。
 そういうホノちゃんは? 経歴、聞いたコトないですけど?」

「エッ? や、私の話は置いときましょうよ」

 俺の言葉を聞いてちょっぴり酔いが醒めたのか、ホノカが焦り出した。

 悪戯心が芽生えて、俺はホノカをいじる。

「いーや置けねぇな(笑) ぶっちゃけ俺、未だにキタガワを疑ってる」

「もうー! だから、北川は違うんだってば、ハジメさんしつこい。
 それを言うなら私」

「ウン?」

「イッサちゃんを疑ってる」

「!…」

 俺はしまったと思った。

 この時のホノカは…目に涙を溜めていた。



「ハジメさん…



 付き合ってたんでしょ…?



 …イッサちゃんと…」





12/28ページ
スキ