ハジメのエピローグ

7/28ページ

前へ 次へ


「ホーノーさん」

 手始めにほっぺたをツンツンする。やわらか。

 ホノカは微動だにしない。

 顎を掬い上げて下唇を親指でなぞる。やわらか。

 すると、ホノカはムニャムニャ言いながら、俺の指を甘噛みした。

 やっばい。超イケナイ気分。胸の奥の奥で妙な痺れが拡がる。

「俺の指食べないで」

 たまらなくなって、キスをしようとホノカに身を寄せる。

 …いけね、エアーマットの上だってこと忘れてた!

 バッシャン。

「わあ!? ハジメさん、何やってるんですか」

 大きな水音にびっくりして飛び上がったホノカ、俺がぷはぁっと水中から顔を出すと、笑いを噛み殺してくっくっと肩を揺らした。

「ふっ…寝ながら落ちちゃったの? ふふ…っ、ハジメさん、ちょっと寝相悪いから」

「こんにゃろ、ホノのせいだっつーの!」

「わっ、ちょっ、きゃあ!」

 ホノカにからかわれてまた悪戯心に火が点いて、俺はホノカの乗っているエアーマットを横から裏っ返した。

 バッシャン。

 ホノカが落ちたのを、俺はすぐに肘を持って引き上げる。

「ハジメさんっ、ヒドイ」

「ホノが笑うから。
 それに先に寝てたのはそっち」

 前髪が額に張りついて水浸しのホノカが色っぽ過ぎて、ちょっとブレーキが効かない。

 何か言おうとしたホノカを無視して、その唇をやわらかく塞いだ。





7/28ページ
スキ