ハジメのエピローグ

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 とまあ、そんな経緯で俺とホノカは一泊旅行へと発った。

 ホノカとの付き合いの間に二人で選んで購入したミニバンに乗って、先に近藤家のお墓へ。

 墓地は海辺から少し離れた小高い丘にあって、どこまでも続く水平線を一望出来た。

 先月お母さんが活けた花はすっかり枯れていた。俺達はそれを片付けて、周りもほうきできれいに掃いた。

 それから墓石に水をたっぷり掛けて、来る途中で買ってきた新しい花を花立に活ける。

 線香にライターで火を灯して、香炉に横に倒して入れた。

 線香の煙がゆらゆらと揺れる中で、静かに手を合わせる俺達。

「ハジメさん? そんなに長く、何を話したの?」

 先にホノカが手を下ろして目を開けて、俺はまだお祈りが終わってなかった。

「ん、ちょっと待って…
 ホノカとお母さんを、お守り下さいってのと…ちょっとした俺の自己紹介(笑)
 ほら俺、ホノん家の仏壇には行く度手を合わせてるけど、こっちは初めてだから」

「(笑)」

 ホノカが静かに笑うのを目を瞑りながら聞いて、最後に、ホノカのお父さんに宣言した。





(大事な娘さんを、俺にください。)





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