ハジメのエピローグ

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「ハージーメーさん! はやく、はやく!」

「ホノー? テンション高いな、おい(笑) プールは逃げないから、大丈夫だぞ?」

「だって、私達しかいないってすごいじゃないですか。誰か来ない内にのんびりしましょうよ」

 いつもは控えめな彼女が、トレードマークのポニーテールを揺らしながらはしゃいで俺の手を引っ張るのは、きっと今日が俺の誕生日だから。

 そしていつもはラッシュガードにショーパンスタイルの彼女が、眩しいくらいに体のラインが際立つビキニを身に着けているのも、今日が俺の誕生日だから。

 最初はイヤイヤと首を振っていたけど、誰もいないのを見て居直ったらしい(笑)

 すぐ目の前に海があるけど、陽が傾きかけていたし、ちょっと白波が立っていた。

 いい波が立ったとサーファーばかりの浜辺には目もくれず、俺達はプールが併設されている宿泊先のリゾートホテルに直行した。

 夏の始まりだったけど、平日だから他の泊まりの客はいないらしい、というか、俺達のチェックインが早過ぎた?(笑)



 俺、岩見沢いわみさわはじめ、今日29歳になったばかりのラーメン屋の店長。

 彼女、近藤こんどう帆乃夏ほのか、先月24歳になった社会人2年目。



 付き合い始めてから…3年が経とうとしていた。





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