ハジメの一歩
46/75ページ
「あー、そうだ。ホノちゃん。あのさぁ」
「はい」
「キミとキタガワってさ」
う。キタガワの名前を出した時の、ホノカの目の鋭さといったら(苦笑)
でも、どうしても気になるので…臆せず聞いてみる。
「気を悪くしたら、ごめんな。
キミらは…ほんとにそういうんじゃない?
ただの元クラスメイトにしては…
前に話してくれた、キタガワを助けたっていうアレがきっかけで、友情が出来たのは分かるんだけど…
…なんかこう…うーん…
キミか、キタガワか、どっちかそういうキモチになってたんじゃねーかなと…
…しつこいか?俺(笑)」
ホノカは目を丸くしながら俺の話を聞いていたが、最後のシメにくしゃっと顔を崩した。
「ふっ…そんなことは…あるかも(笑)」
「くくく。まぁ、話さなくてもいいけど。
なんかな。ちょっと、キミとキタガワの空気がさ。
…勇実とタツミくんの雰囲気に似てるから」
「そうですか?
ほんとに、そんなじゃないんですけどね(笑)
…あ」
急にホノカが言葉を止めた。
「うん? ナニ?」
「ハジメさん…もしかしたら思い違いをさせてるかもしれないので、今の内に白状します」
「うん。なんだろ」
「北川が私を名前で呼び始めたの」
「うん」
「助けたあの日じゃなくて」
「え。そうなの?」
「はい」
てっきりそうだと思い込んでいたのでビックリした。アレ以外の事件が、二人の間にあったって事だよな。
ホノカの次の言葉を待つ。ホノカは…頭の中でまとめているのか、しばらく考え込んで…
やっと、口を開いた。
「私
高3の時に、父を亡くしていて」
…