ハジメの一歩

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 正午過ぎに、バーベキューの食材もあらかた全員の胃袋に収まった。

 タツミくんのラジオのロケも枠の半分近くを稼ぐ事が出来たので、次は海水浴場の方で録音をする事になった。

 バーベキューの道具を窓口に返して、パラソルと自分達のバッグを持って浜辺を歩く。

 朝着いた時より人が増えていた。なんとかパラソルを立てられるスペースを確保して、俺達は水着に着替える事にした。

 と言っても、俺とタツミくんはすでに服の下に着込んでるから、更衣室まで行ったのは勇実とホノカだけ。

 タツミくんと二人でパラソルの下でボンヤリ待っていると、

「お待ちどおさまぁ」

 勇実が遠くからのんびり呼びかけてきた。

 そちらに目をやる前に、重大な事を思い出した。

 俺、アイツの体見ちゃっていいの?

 短期間の付き合いだったけど、知ってるし。

 それって、タツミくんからしたら複雑なんじゃないの?

 なんて考えて、思わずくるりと背を向ける。

「? ハジメちゃん? どーしたの?」

 勇実の声が、俺のすぐ後ろから聞こえる。

「い、いや? なんか飲もうかなぁ、と思って」

「ドリンクはこっちに置いてるよ。どこ見てるの? お茶でいいの? はいどーぞ」

 勇実が俺の前に回り込んでドリンクを渡してきたから、観念して勇実の姿を目に入れた。

 勇実…セパレートの水着の上に、ラッシュガード着てた。

 はあぁ、よかった。

 ホノカも、上にラッシュガード、下はホットパンツという控えめな出で立ちだったので、こちらもほっとした。

 しかし二人とも、脚がスラッと伸びて、形もよくて、これだけでも…十分に刺激的と思うのは、俺がおかしいのか?

「俺…女の子に免疫無くなってるかもしれねぇ…」

 誰にも聞こえないようにポツリとつぶやいて、お茶を喉に流し込んだ。





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