ハジメの一歩

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 俺とホノカは、次々に出来上がった物をテーブルに置いていった。

 ロケの合間にタツミくんと勇実が戻ってきて、それらを頬張っていく。

「うまーい(笑)」

「でしょでしょ。ハジメちゃん焼きそばも絶品なのよ。
 ホノちゃんのお肉も美味しいよ(笑)」

「焼いただけですけどね(笑)
 ハジメさん、私も焼きそば食べたいです」

「おー、食え食え。焼くの頑張ったから、大盛りな(笑)」

「わっ。盛り過ぎですよ(笑) いただきまーす。
 …んーっ」

 美味いという言葉はなくても、ホノカのその表情だけで満たされる。料理人冥利に尽きるよな。

「しかし…なかなか減らないな。キタガワの分もあるからなぁ」

「あっほら。キタガワくんに画像送んなきゃ(笑)」

 勇実が思い出したように言って、俺達に食べ物を配る。食べてるところを撮ろうっていう魂胆。

「お。そうだったそうだった(笑) ホノちゃん、キミので撮って送りつけてやれ」

「ハイ。じゃあ、皆さん寄って下さい…あれ、入りきらない…」

「貸して。…入ったか? じゃあ撮るぞ。
 ざまーみろ、キタガワぁ(笑)」

 ホノカのスマホを目一杯遠ざけて、全員が画面に収まったのを確認してから、変な掛け声でシャッターを切った(笑)

「ちょっと…笑わせないで下さいよハジメさん(笑)」

「へへへ。でもほら、みんないい顔だぞ? これで送っちゃえ」

 【アンタの分まで食べてるよ!】っていうメッセージを付けて、ホノカは画像をキタガワに送信した。

 すると数分後、キタガワから返信が来た。

「アイツ、なんだって?」

 スマホを覗かせてもらうと、



【ちくしょう! やっぱり俺も参加したかった!
 ホノカが楽しそうで何より。



 あと、にーさんがやたらホノカに近いんじゃないの】



 最後の一文を見て、思わずさっきの貼付された画像を見た。

 ち、近い? そうか? 画面に入るために寄ったら、こんなもんなんじゃないの?

 俺に限らず勇実だってタツミくんだって、ホノカに寄ってるのに。

 でも、言われてみたら、僅差で俺が一番ホノカに近い気がする。こんなちょっとの差を、アイツは指摘してるワケ?

「…ヤキモチ?」

「ま、さか」

 俺の言葉に、ホノカは苦笑いをした。

 真意などさっぱり分からない、キタガワはそのメッセージの後に、バイク仲間と絶景ポイントで休憩している写真を貼付していた。





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